公示地価4年連続上昇、バブル後最大の2.7%増 地図で全地点詳報

益田暢子
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 国土交通省は18日、2025年1月1日時点の公示地価を発表した。住宅地や商業地など全用途の全国平均は前年より2.7%上がった。上昇は4年連続で、バブル崩壊後の1992年以降、最大の上げ幅となった。訪日外国人客の増加で別荘やホテルなどの需要が増え、全体を押し上げた。

 全国約2万5千の調査地点の67%で地価が上昇した。都市部では住宅やオフィスなどの需要が根強く、上げ幅が拡大。地方では観光地を中心に堅調な訪日客需要で価格が上がった。

 住宅地は全国平均で2.1%上がった。東京、大阪、名古屋の3大都市圏は平均3.3%上昇した。東京23区は全ての区で上昇幅が拡大し、中央区や港区、目黒区などの中心部では10%を超えた。都心部ではマンション価格が高騰しており、都心にアクセスしやすい周辺部でマイホームを求める動きが広がっている。千葉県流山市では、平均上昇率が13.6%だった。

 再開発が進む地方4市(札幌、仙台、広島、福岡)は、4.9%上がった。札幌市では建設費の高騰などで住宅の買い控えが進み、前年に比べて上昇幅が縮小した。訪日客でにぎわう長野県白馬村野沢温泉村は、別荘やコンドミニアムの需要が高く、20%超上がった地点もあった。

 商業地は全国平均で3.9%上がった。都心部や地方都市では、駅に近い利便性の高い地点でマンション用地と競合し、上昇率が高かった。3大都市圏のうち、訪日客の需要が薄い名古屋圏は上昇幅が小さかった。最高価格地点は19年連続で東京都中央区の「山野楽器銀座本店」で、1平方メートルあたり6050万円だった。

 一方、能登半島地震の被災地や人口減少が進む地方では地価の下落が進んだ。住宅地の変動率下位10地点は、いずれも石川県だった。

 今後の見通しについて三井住友トラスト基礎研究所投資調査部長の大谷咲太氏は「建設費の高騰で、土地を利活用する動きは、高くても売れる都心部に絞られていくだろう。都心では今後も地価が上がるが、全国的にみれば下がっていくのではないか」とみる。

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この記事を書いた人
益田暢子
経済部|不動産担当
専門・関心分野
不動産、教育、ジェンダー