第3回「嫌ならはっきりと…」の幻想 ゆがんだ性交観と無縁じゃない法廷

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聞き手・伊木緑 大貫聡子
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 性暴力の被害実態を正確にとらえて判断してほしいという被害者の声を受け、刑法は改正されてきました。そうした中で、被害者の声は十分届くようになったのか。多くの性犯罪の裁判を取材してきたライターの小川たまかさんと、ジェンダーをめぐる問題に詳しい太田啓子弁護士に聞きました。

「嫌ならはっきり拒絶するはず」なのか 小川たまかさん

 小川さんは「すさまじい暴力を振るわれて性交を強いられ、被害者が泣きながら抵抗する――。裁判官の中には今もそうした性暴力に対する幻想を抱いている人がいるように思う」と話します。

 これまで、ナンパ塾「リアルナンパアカデミー」の代表を名乗る男が女性3人を泥酔させて性的暴行を加えた事件など、多くの裁判を傍聴してきて感じているのは、実際の性暴力は、そうした幻想とはまったく違う状況で起きているということです。

 飲み会の流れで起きる集団暴行は特に巧妙でわかりづらい。一緒に楽しんでいる雰囲気を盛り上げることも、加害者の下地づくりの一環だからです。

 これだけ冗談を言い合って笑ってたんだから、嫌だと思えば断れるよね?という状況にあえて持ち込むのです。

 そうした意図をもった人に囲まれ、大量のアルコールを飲まされると、固まってしまったり、何度拒否しても繰り返し迫られると、早く帰りたいと思って性行為に応じてしまったりする被害者は少なくありません。

 ある性的暴行を問われたケースでは、大学生たちと被害女性は初対面で、飲み会の最中から、大学生らは共通のグループラインに「確実にいけるぞ」「だれかいくか」などのメッセージを送っていました。

 この時点でお互いが対等に関…

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この記事を書いた人
伊木緑
東京社会部
専門・関心分野
ジェンダー、メディア、スポーツ
大貫聡子
くらし報道部
専門・関心分野
ジェンダーと司法、韓国、マイノリティー
  • commentatorHeader
    藤田直哉
    (批評家・日本映画大学准教授)
    2025年3月18日18時0分 投稿
    【提案】

    性暴力に関係する書籍を読んだり、フェミニズムの本を色々と読んで思うのは、ここで潜在的に問題になっているのは「主体」の問題なんだと思うんですよ。近代的な、意志を持ち、それを表明し、結果に責任を持つような「強い主体」を、おそらく法体系も想定して

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