映画PLAN75の「未来」避けるには 「簡単な処方箋はなくても」
高齢化社会の対応策として、国は75歳以上の高齢者が自ら死を選べる制度を施行した。「未来を守りたいから」。CMではそんなキャッチフレーズが流れる――。2022年6月公開の映画「PLAN75」は、そんな日本の「未来」を描き世間をざわつかせた。
連載「8がけ社会」
高齢化がさらに進む2040年。社会を支える働き手はますます必要になるのに、現役世代は今の8割になる「8がけ社会」がやってきます。今までの「当たり前」が通用しなくなる未来を私たちはどう生きるべきでしょうか。専門家の力も借りながら、解決に向けた糸口を考えます。
公開から1年半が経ったいまも、SNSや映画批評サイトでは、劇中の制度に対する賛否が渦巻く。「こういう制度があればいいなって思う」「やんわりとした集団自殺的な空気が漂っていて絶望した」。ある映画館では、見終えた高齢男性が「馬鹿にするな」と吐き捨てた。
切迫感を伴って受け止められた理由を立命館大の大谷いづみ教授(生命倫理学)は「高齢者に限らず、全ての世代が『これは絵空事ではない』と感じるからでしょう」と語る。
早川監督と対話集会
下肢に障害を持ち、社会の差別や偏見と向き合ってきた大谷さんは、高校教師をしていた約30年前、生徒の一人が授業で「老人や重度障害者が自ら尊厳死を選ぶように導く社会が進化した社会だ」との意見を提出したことに衝撃を受けた。
記事の後半では、「8がけ社会」の不安にどう向き合うべきか識者とともに探ります。そして取材を重ねてきた記者がたどり着いた解決策の一つを示します。
若い世代に、こう思わせてし…
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- 【視点】
「PLAN75」。いろんなものがグサグサと胸に突き刺さってくるような思いで見ました。75歳になったら、生きるのか死ぬのか、自分で選択できる。もし、そんな制度がオフィシャルになったら、自分はどうするだろう。アラフィフの私、近未来も老後も不安で
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