第3回子どもの瞳に宿った恐怖と敵意 元イスラエル兵が記録する「過ち」

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エルサレム=高久潤

 傍らに目をやると、10歳にも満たないパレスチナ人の子どもたちが、黒々とした瞳でこちらを見つめていた。

 2015年の初め、当時イスラエル軍(IDF)に所属していたジョエル・カーメルさん(31)が、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸での任務にあたっていたときのことだ。

 真冬の夜空の下、軍服を着ていても冷気が肌までしみてくるようだった。だが、子どもたちの肩が小刻みに震えているのは、そのせいだけではなかった。

 「兵士の私を怖がっているのだな」。安心させようと、ほほえみかけた。

退役後に「沈黙を破る」

 子どもたちの瞳は、いっそう見開かれた。その奥で色を増したように感じられたのは、安堵(あんど)ではなく、恐怖と敵意だった。

 この経験が「転機」になった。

イスラエル兵はパレスチナ人をどのように認識しているのか。兵士の証言を集めている退役兵が明かします。

 「イスラエル軍がパレスチナ…

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この記事を書いた人
高久潤
エルサレム支局長
専門・関心分野
グローバリゼーション、民主主義、文化、芸術
イスラエル・パレスチナ問題

イスラエル・パレスチナ問題

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