台湾総統選で見た熱気、「第3勢力」の躍進を支えた人たちの思いは
聞き覚えのあるギターの前奏が聞こえて、ふとステージに目をやると、女性が沢田研二さんのヒット曲「時の過ぎゆくままに」の中国語版を歌っていた。まさか、出張先の台湾で聞くとは思わなかった。
ワールドインサイト
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世界が注目した台湾総統選挙が最終盤を迎えていた1月上旬、私は取材のため現地に飛び、与野党3陣営の大集会を回っていた。この日のぞいたのは、長らく台湾の二大政党の一角を占めてきた国民党の集会だ。党の発表によると北部桃園市の会場には10万人超が詰めかけた。30代の私もよく知らない1970年代の日本の歌謡曲を口ずさめるだけあって、見回すと、参加者は中高年層が中心のようだ。
2大政党の争いが続いていた台湾の総統選は、今回、本格的な「三つどもえ」となりました。選挙最終盤に現地を歩いた岩田記者が見たのは、新しいタイプの集会に集まる若者たちの姿でした。
ステージを見つめる人の中には、「○○里(町内会)」「○○婦人会」といった看板を掲げる人もいる。大型バスに乗って、動員されてきた人たちだ。集会は党幹部のあいさつや、総統選と同時にある立法院(国会)選の候補者紹介などで数時間続く。会場の隅には、主催者が参加者に配る軽食の箱が山積みになっていた。
「バスも弁当もないのにどうして来た!」
この翌日、南部の高雄市であ…
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- 【視点】
台湾の民衆党は、今年の総統選でも立法院選の比例代表でも、得票数を見れば一定の割合を占めましたが、選挙区では十分な候補者数を出せておらず、実際に立法院選で得た議席数は8にとどまっています。こうした選挙での課題や、党首級政治家の人気を背景にクリ
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