処理水放出の「関係者の理解」 対話なき決定によるネガティブな構造
東京電力福島第一原発の処理水について、政府は今夏にも海への放出を始める方針だ。国際原子力機関(IAEA)は7月、「放出による人や環境への影響は無視できるほど」と安全性について評価した。一方、政府と東電は10年前から「関係者の理解」を課題と認識していたが、放出が間近に迫った今も理解を得ようとする取り組みが続いている。
「(処理水は)関係者の理解なしには、いかなる処分も行いません」
2015年8月に政府と東電が福島県漁業協同組合連合会(福島県漁連)に出した文書には、こう記されている。
原発事故後、放射性物質によって海が汚染され、福島の漁業者は漁の自粛や制限を強いられた。この文書は、汚染水の発生抑制策として原発敷地内でくみ上げた地下水の海洋放出を受け入れてもらうにあたって交わされた約束だ。
岸田文雄首相や東電の小早川智明社長はともに、この約束を「順守する」としている。
記事の後半では、放出に「関係者の理解」が必要となった経緯、政府の方針決定プロセスのあり方について考えます。
発端は事故直後の不手際
国内外の原子力施設では、濃度基準を下回るトリチウムなどの放射性物質を海などに放出している。福島第一原発の処理水に関して政府と東電が「関係者の理解」を重視するのは、事故直後の不手際が発端だ。
11年4月、東電は福島第一…
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