数百万の命をおびやかす「薪調理」が減らない謎 経済学者が探った

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真野啓太
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 インドでは、薪(まき)を燃やして煮炊きする家庭が少なくない。乾燥させた牛ふんを使うこともある。エコなバイオマス燃料かと思いきや、燃焼時に発生する大量の煙が女性や子どもに大きな健康被害をもたらしているという。インド政府はガス調理の普及を試みているが、薪の利用はなくならない。いったいなぜなのか。日本の環境経済学者が現地入りして調べた。調査に使ったのは「あめ玉」だ。

 地べたにかがんだ女性が、かまどの火の加減を見ている。部屋には白い煙が充満している。換気扇も煙突も窓もない。木材を組んだ壁には穴があけてあるが、換気できているか。心もとない。

 インド東部コルカタ郊外の村の、とある家庭の調理風景を写した写真を見ながら、現地調査のことを振り返るのは、一橋大学准教授の横尾英史さん(40)だ。

 「家の中でバーベキューやたき火をしているのと同じ状態といえば、煙のすごさが伝わるでしょうか」

大量の煙が出る調理法は「家庭内大気汚染」として社会問題化してきました。横尾さんらは「リスク認識」に注目し、現地調査に臨みます。後半では、あめ玉を使った調査手法とその結果を紹介します。

 横尾さんは廃棄物管理やエネ…

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