要衝失ったロシア軍、もろさ露呈 スキ突かれ、首都撤退に次ぐ痛手か
ロシアが、その制圧をウクライナ侵攻の目的に掲げる同国東部の戦況が10日、大きく動いた。ロシア軍が北東部ハルキウ州でウクライナ軍の奇襲攻撃を受け、東部ドネツク州に近い重要拠点のイジュームから撤退を表明。ウクライナ軍はさらに、周辺の占領地の奪還を進める構えだ。
ロシアにとって、3月末の首都キーウ(キエフ)周辺からの撤退に次ぐ痛手になるとの見方もある。
イジュームは、ウクライナが支配を保つ同国第2の都市ハルキウと東部ドネツク州の拠点都市スラビャンスク、クラマトルスクを結ぶ幹線道路上にある。侵攻開始後、ロシア軍が3月半ばに占領。ハルキウから両市へのウクライナ側の補給路を断つと同時に、スラビャンスク、クラマトルスクへの砲撃を続けてきた。
ロシア軍は3月末にキーウ近郊から撤退して以降、ドンバス地方と呼ばれるドネツク、ルハンスク両州の制圧を、侵攻の最大の目的にしてきた。7月にルハンスク州の全域制圧を宣言し、ドネツク州での支配地域拡大を狙ってきたが、イジュームからの撤退で、ドネツク州への北からの攻撃拠点を失ったことになる。
ウクライナのゼレンスキー大統領は10日夜のSNSへの投稿で、ウクライナ軍による領土奪還の例として、新たに別のハルキウ州の二つの町の名もあげた。
メディアでは、ほかにも多くの町が「解放された」と伝えられており、領土奪還の作戦はハルキウ州東部の広い範囲で行われた模様だ。ウクライナ軍は今後、州内に残ったロシア軍が北の国境や東のルハンスク州へ退却するよう、さらに反転攻勢を続けるとみられる。
突然始まった電撃戦
ハルキウ州内でのウクライナ軍の作戦は突然始まり、予想外の速さで進んだ。
長く膠着(こうちゃく)状態…
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- 【視点】
ロシア国防省は、イジューム周辺からの撤退を「部隊の再編成」として発表しました。旧日本軍が「撤退」や「敗走」を「転進」と呼んだことが思い出されます。 ロシア国営テレビのニュースを見る限り、視聴者の多くは「劣勢」を感じることはないでしょう。例
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