我が子がコロナ感染、抱っこや添い寝はダメ? 迷う親は

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岡崎明子
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 新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、安倍晋三首相緊急事態宣言を出しました。小さい子どもへの感染は少ないとされていますが、生後8カ月の女の子が感染し、重症化した例もあります。感染防止に気をつけていても感染するリスクが上がっている中、万が一、我が子が感染したら、親はどう行動すべきなのでしょうか。「抱っこ」や「添い寝」をしては、駄目なのでしょうか。子どもの感染症にくわしい国立国際医療研究センターAMR臨床リファレンスセンター臨床疫学室長の松永展明さんに話を聞きました。

「いつもより不機嫌」はサインかも

 ――子どもにどんな症状が出たら、「コロナに感染したのかもしれない」と疑うべきですか。

 「日本小児科学会のまとめによると、子どもが新型コロナウイルスに感染すると、熱や乾いたせき、だるさを訴える場合が多くあります。下痢や嘔吐(おうと)、腹痛などの症状が出ることもありますが、鼻水や鼻づまりなどはあまりありません。ただ小さい子どもは『だるい』という言葉を知りません。ふだんより不機嫌だなということも、一つのサインになるでしょう。突然、においや味がしなくなるとも言われますが、子どもに関する知見はまだ少ないようです。ふだんと同じものを食べても『おいしくない』というのは、もしかしたら味覚異常のサインかもしれません。ただ重症化することはまれで、たいていは1~2週間で回復します」

 ――小さい子はよく熱を出します。37度5分以上の熱が4日間以上続いたら、必ず帰国者・接触者相談センターに連絡した方がいいですか。

 「熱が続いても、子どもが元気ならば、急いで連絡する必要はないでしょう。風邪と同じような症状なので、自然に回復します。PCR検査を受けるために病院に行く方が、感染するリスクが高いと思います。ただ、39度など高い熱が続く場合は、注意が必要です。新型コロナウイルスへの感染を疑うよりは、ほかの重症化する病気にかかっている可能性を考える必要があります」

 ――では軽症なら、基本的に検査を受けなくていいのですね。

 「そうはっきり言えないことが、このウイルスの難しさです。検査を受ける目的には『治療』と、『感染拡大防止』という二つの観点があります。本人が元気なら治療の必要はありませんが、おじいちゃん、おばあちゃんと同居していたり、家族が持病を持っていたりする場合は、早めに診断をつけた方が、家の中でより慎重な感染対策が取れます。ウイルスという、いわゆる『生きたもの』と闘うときは、『絶対にこうした方がいい』という風に白黒がつかないものです。本人、あるいは社会にとってどちらの方が最善なのか、トレードオフの関係で考えねばならないのだと思います」

「抱っこ」のメリットとデメリット

 ――家族が新型コロナウイルスに感染した疑いがある場合、厚生労働省は「部屋を分けましょう」と注意しています(https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000601721.pdf別ウインドウで開きます)。しかし小さな子どもを1人で部屋で過ごさせるのは、現実的ではありません。抱っこをせがまれても、しては駄目なのでしょうか。

 「乳幼児と小学生でわけて考えてみましょう。乳幼児は、親とのかかわりが必須です。抱っこをすることで親への感染のリスクが高まることは確かです。しかし『抱っこをしてくれない』と泣くことで飛沫(ひまつ)が飛び散ります。また、病気でつらいときに安心感を与えることは大切ですので、抱っこをする方が適切だと思います。そのときに親は、子どもにマスクをつけるなどしっかり防御することが大事です。よだれなどが洋服についたら、着替えましょう。世話をした後の処置をしっかりすることが大切だと思っています」

 ――添い寝はどうでしょうか。

 「これは個人的な見解ですが、添い寝をしないと寝られない子も多いのではないでしょうか。だから、これもやめる必要はないと思います。横で一緒に布団に入り、もし洋服によだれなどがついていたら、寝入ったところでパジャマを替えて別の部屋で寝るという方法もあると思います。添い寝をすることで感染のリスクは上がりますが、それ以上の効果があるのではないかと思います。リスクは○と×ではなく、1から10までの数字で評価するというイメージで考えるといいのではと思います」

 ――小学生の場合はどんな注…

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岡崎明子
岡崎明子(おかざき・あきこ)朝日新聞医療サイト「アピタル」編集長
科学医療部記者。広島支局をふり出しに、科学医療部で長く勤務。おもに医療、医学分野を担当し、生殖医療、がんなどを取材。特別報道部時代は、加計学園獣医学部新設問題の取材で日本ジャーナリスト会議(JCJ)賞を受賞。オピニオン編集部デスクを経て、2020年4月からアピタル編集長。