薬飲まされ4歳死亡、虐待死防げず 早期支援のフランスから見る課題

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聞き手・久永隆一

 幼い子の命がまた奪われた。東京都台東区で4歳の細谷美輝(よしき)ちゃんに薬品を飲ませて殺害したとして、両親が逮捕された。美輝ちゃんの妊娠中に、母親は精神的な不安定さから支援が必要な「特定妊婦」とされ、行政は把握していた。それでも虐待は起き、最悪の結果を防げなかった。

 どこが課題なのか。子育て家庭の早期支援を模索している日本にとって、先行例ともいえるのがフランスだ。現地で子ども家庭福祉を研究する安發(あわ)明子さんに聞いた。

虐待は福祉の失敗の結果

――今度は4歳の子が亡くなりました。

 児童虐待は福祉の失敗の結果。すごくがっかりしました。船戸結愛(ゆあ)ちゃん事件(2018年、東京都目黒区)や栗原心愛(みあ)ちゃん事件(19年、千葉県野田市)があり、児童虐待は注目されるようになりましたが、同じようなことがまだ起きています。今の仕組みでは、子どもを守り切れていません。

――フランスとの違いをどう感じますか。

 まず、「心配」から行政が動き出すところです。保育園や学校で働く専門職の大人たちが、子どもの様子に心配があれば、心配な情報を集約する部署に連絡します。この部署は県に1カ所あります。あざのような傷痕に限りません。疲れ、不衛生な服、理由のない不安感などが、心配だと伝える必要がある状況とされています。

――虐待の有無ではないのですね。

 虐待が起きてからでは、極端…

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この記事を書いた人
久永隆一
東京社会部|文部科学省担当
専門・関心分野
社会保障政策、こども若者、人口減少、貧困、教育、女性支援