67年前の赤ちゃん取り違え 「生みの親に会いたい」捜し続ける男性
黒田早織
生みの親はどんな人なのか、会いたい――。出生直後に別の新生児と取り違えられたと分かってから約20年間、東京都の江蔵智(えぐらさとし)さん(67)は生みの親を捜し続けている。
取り違えは、墨田区の都立墨田産院(閉院)のミスだった。江蔵さんは、生みの親に連絡をとるための調整や調査を都に求めて提訴しており、東京地裁が21日、判決を言い渡す。
江蔵さんは幼い頃から、「家族の中で自分は浮いている」との違和感があった。
自分は活発なのに、三つ下の弟は引っ込み思案。テレビを見ていると、泣き笑いの感覚が家族と合わない。親戚を見渡しても、自分の顔と似た人がいない。親戚が集まる宴席で「誰にも似てない」と言われたこともあった。
ささいなことの積み重ねが、疎外感を強めていった。「早く離れたい」。14歳で家を出た。住み込みの仕事を転々とした。早くひとりだちしたくて、20歳で店を持った。
46歳のとき、母親が偶然受けた血液検査で、親子の血液型の組み合わせがおかしいとわかった。DNA鑑定では、家族全員と血縁関係がないとの結果が出た。
ぼうぜんとして、頭が真っ白…