無資格でX線照射、医師と営業社員のゆがんだ関係 「密室」浮き彫り
人体への影響が大きい手術中のX線照射を、無資格の医療機器メーカー社員が行っていた。部外者による医療行為の発覚は極めて異例だ。手術室という「密室」で危険な行為が横行する背景に、医師と営業社員のゆがんだ関係が浮かぶ。
「放射線を操作する機器の近くにいると、目がくらくらすることがある」。医療機器メーカーの元営業社員は、手術中に医師の求めでX線機器を操作した経験をそう振り返る。「放射線は見えない。健康への影響はわからず、怖さがある。麻酔で寝ている患者は直接影響を受けており、もっとショックだろう」
甲状腺や目など人体に影響を与える恐れがあるX線機器には、安全に取り扱うために専門知識と技術が求められ、診療放射線技師などの資格が必要となる。
今回、医療機器メーカー「ニューベイシブジャパン」の営業社員が操作していたのは、「Cアーム」と呼ばれる機器。患者に放射線を当てて体内の状況をリアルタイムで映し出し、把握するための診断装置だ。整形外科手術などで使用され、健康診断時の短時間のX線撮影などに比べ、放射線の照射は長時間に及ぶことが多い。機器も大きく、照射する量を細かく調整する作業が求められ、安全面からも特に高度な操作が必要となるという。
無資格者による放射線機器の操作が摘発された事例は過去にもあり、短時間の照射が大半とされる。千葉県佐倉市の総合病院で2018年、無資格の臨床工学技士にX線装置を操作させたとして医師が書類送検され、19年には大阪市の歯科医院で、無資格の歯科助手らが書類送検された。
この2事例を含め、これまで発覚したのは病院内部の関係者による無資格での照射だ。今回発覚したのは医療機器メーカーの営業担当者という、病院の「部外者」だった。
医師とメーカー社員、癒着の理由
安全軽視の行為の背景には…
- 【提案】
時機遅れたが、今週も本件の続報が出ているのでコメントを入れる。手術中の医療機器メーカーによる立会い、つまり医療機器メーカーと病院との営業目的での癒着は昔から指摘され、「医療機関等における医療機器の立会いに関する基準」が厚労省から発出されてい
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