(古典百名山+plus:102)三上章『象は鼻が長い』 大澤真幸が読む

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 ■「ハ」に潜む他者からの問い

 奇妙なタイトルをもつ本書は、市井の言語学者による日本語論の名著。ここで「主語」が否定される。ヨーロッパ語をモデルにすると、文の中核的要素は主語だと考えたくなるが、日本語にはそれは当てはまらない。三上章はこのことを証明する。

 日本文法において、主語の代わりに縦横無尽…

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