(EYE モニターの目)今月のテーマ:イランをめぐる報道

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 ■なぜ司令官を殺害したか

 アメリカとイランの緊迫した状況、イラン国内の反政府デモ、中東への自衛隊派遣など、イランをめぐっての記事から目が離せない。特に関心があるのはトランプ米大統領の考えなのだが、彼の場当たり的な判断は解釈が難しいのか、なるほどと思う記事はなかなか見つからない。イランとの核合意からの一方的離脱から現在の状況までをじっくり分析して欲しい。ソレイマニ司令官殺害をなぜ実行したのか、深く掘り下げた記事が読みたい。(渡辺令子 65歳 神奈川県)

 ■単純化しない記事に期待

 イランの司令官殺害直後はイラン国内が反米一色に染まった印象を受けたが、その後のウクライナ機撃墜で反政府デモが拡大し、国内は必ずしも一枚岩ではないことがわかった。厳しいイスラム教の戒律を重んじる文化の中で、抑圧されてきた女性アスリートが亡命の意思を示す記事を読み、内在する国内問題が噴出している様子も垣間見られた。一つの国を善か悪かのイメージで固めてしまうのではなく、単純化を許さない多角的な記事を期待したい。(永井香苗 45歳 岐阜県)

 ■宗教と政治の関係は

 1月14日朝刊の時時刻刻「『報復の連鎖』不安」では、イランとイラクの関係がよく説明されていた。ただ、イランの最高指導者ハメネイ師とはどのような人物なのか。最高指導者はどのように選ばれ、どんな権限を持つのか。ロハニ大統領との関係はどうなっているのか。そういう点が分からない。中東といってもそれぞれ宗教や文化が異なるので、記事では宗教と政治がどのように絡み合い、国家がどう運営されているのか、解説を載せてほしい。(松本昭彦 62歳 神奈川県)

 <イラン社会の変化、多角的に紹介>

 トランプ大統領の政策の多くは再選を見据えたもので、今回の米イラン間の緊張も関係していると言えます。トランプ氏の最大の支持母体であるキリスト教福音派は、親イスラエル・反イランの傾向があります。渡辺さんが触れられた核合意離脱には、こうした支持層への配慮がうかがえます。

 離脱に伴う制裁でイランが追い詰められるなか、イラクの米軍拠点への攻撃や米大使館への襲撃事件が起こりました。親イラン勢力の関与が指摘されており、トランプ氏は自分が「弱腰」と見られるのを嫌い、ソレイマニ司令官の殺害判断に踏み切った、と思われます。

 イスラム革命から40年がたったイランは、社会も変化しており、これまでも「サッカー観戦禁止」に挑む女性などを紹介してきました。永井さんがご指摘になるように、さらに多角的な記事に取り組んでいきます。デモの背景には、制裁にも起因する市民の生活苦があります。

 イスラム体制を揺るがし始めた今、松本さんが言われる宗教・政治の解説は一層必要です。イランや中東情勢に関する連載企画を近く始める予定です。(国際報道部次長・杉山正)

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 ◇東京本社発行の朝刊、夕刊の最終版をもとにしています。

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