「少女時代」の歌詞に託した思い 「逃げてもいい」今だから語れる

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丸山ひかり
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 この歌詞を書くのは、正直少し怖かった。

 韓国の女性グループ「少女時代」の日本オリジナル曲「THE GREAT ESCAPE」。シンガー・ソングライター、音楽プロデューサーのsty(エスティワイ)さん(44)は、作詞などに関わった。

 自分を縛るものから逃げることを肯定するテーマを思いついたのは、東日本大震災の直後だ。

 東京・渋谷の自宅マンションの家具が倒れ、コーヒー店に駆け込んだ。携帯電話のワンセグ放送でニュースを見た。津波の濁流が、車をのみ込む場面が映った。東京電力福島第一原発の異変も報じられた。

 死を身近に感じた。遠方の家族に「東京から離れた方がいい」と言われ、翌日、JR品川駅から新幹線で、出身地がある関西を目指した。

 張り詰めた雰囲気だった東京とは違い、大阪の街は普段通りに見えた。心が落ち着き、震災のニュースを冷静に受け止められるようになった。

切実な状況の人たちに寄り添いたい

 ただの現実逃避かもしれない。でも、自分の心を守るためには必要な行動だった、と思った。そして、こう考えた。

 災害に直面した時はもちろん…

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この記事を書いた人
丸山ひかり
文化部次長
専門・関心分野
美術、音楽、表現の自由