津波想定「34m」ショックから13年 犠牲者ゼロへ、黒潮町の挑戦

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原篤司 千種辰弥
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 国による南海トラフ地震の被害想定で、全国で最も高い34メートルの津波が襲うとされる高知県黒潮町。この数字が示されてから13年。町が取り組んできたのは、防災対策を通じて住民の意識を変革することだった。

 町役場近くの芝地区(約110世帯)で30日、住民約80人が参加して花見が開かれた。ただ、一般的な花見と様子が違った。

 かまどに薪をくべて豚汁を作り、炊いたごはんに備蓄のカツオの缶詰を混ぜておにぎりにした。炊き出しの技術向上と、備蓄の食材を使って補充する「ローリングストック」を同時にするもので、地域の防災力向上が狙いだ。

 花見は自主防災組織が約10年前に企画。当初、参加者は少なかったが、年を追うごとに増えた。坂本あや区長(66)は「発災直後は地域で支え合うしかないという意識が浸透してきた」と話す。

全国で最大の津波想定 広がった諦めの空気

 しかし、国が2012年、町…

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この記事を書いた人
原篤司
高知総局
専門・関心分野
防災、司法、民主主義、漁業、起業、韓国文化
千種辰弥
大阪社会部|災害担当
専門・関心分野
災害・気象、地球温暖化、マイノリティー