恵みの雨か、炎や煙は目視できず 今治の山火事 岡山も降雨

堀江泰史 宮沢崇志 大野宏
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 愛媛県今治市西条市にまたがる山林火災は28日、発生から6日目となった。前日夕からまとまった雨が降り、山すそからは炎や煙が見えない。だが消防のドローンによる調査では熱源が複数見つかり、午前7時時点で今治市災害対策本部は「依然として鎮圧のめどはたっていない」としている。

 27日夕に県庁であった災害対策本部会議で、中村時広知事は「鎮圧の背中が見えてきた」と述べていた。残り火の有無を確認したうえで、鎮圧に向けた見通しを慎重に判断するとみられる。

 松山地方気象台によると、今治市では27日夕から28日早朝にかけて28.5ミリの雨が降った。雨は27日午後6時ごろから本格的に降り始め、稲妻が走り雷が鳴った。

 28日午前0~1時が最も激しく1時間の雨量は10.5ミリの「やや強い雨」。午前3時までには上がり、午前6時ごろの日の出とともに道路が乾き始めた。

 今治市役所朝倉支所におかれた統括指揮本部は24時間態勢での警戒を続けている。ただ、消防署員や消防団員が徹夜で続けていた放水作業は発生以降初めて夜間に実施されなかった。

 市消防本部西消防署員の一人は「恵みの雨になったと願い、信じたい」と話した。

 山林の上空では28日午前6時半ごろから、自衛隊のヘリコプターが旋回し、状況を確認した。消防車両もサイレンも鳴らして活動を始めた。

 早朝に犬を散歩させていた50代女性は「山火事が起きてから初めて焦げた臭いのしない朝を迎えました。このまま鎮まってくれたら」と話していた。

 火災は23日に今治市長沢の山林で発生。焼失面積は28日午前8時現在約442ヘクタールで、前日午後2時半現在から変わっていない。両市は計8地区3848世帯7494人に避難指示を出している。今治市内の避難者は28日午前9時過ぎまでに全員帰宅した。西条市ではグループホームなどの利用者と職員125人が避難を続けている。

 岡山市南区の飽浦地区の山林火災は28日、発生から6日目を迎えた。前夜から未明まで雨が降り、市消防局や消防団などが降雨後の状況を確認している。鎮圧の見通しはたっていないが、火や煙は見えないという。現場近くの地域に出していた避難指示は、28日午前10時半に解除した。焼失面積は27日正午時点で約565ヘクタール。

 市災害対策本部などによると、民家などへの新たな被害は確認されていない。避難指示が出されている南区小串地区で開設されている避難所2カ所は28日午前7時現在で滞在者はいない。

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この記事を書いた人
堀江泰史
松山総局|東予地区担当
専門・関心分野
深く広くを目指します。
宮沢崇志
松山総局
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