検察の「捜査報告書」vs議員の「本音」 だまし取ったカネの行方は
主婦から弁護士、そして国会議員へ――。「小沢一郎王国」として知られる岩手選挙区で30年ぶりに自民党議員として当選した被告は、法廷ですすり泣いていた。
勤務実態のない秘書の給与を国からだまし取ったとして、詐欺罪で在宅起訴された前参院議員の広瀬めぐみ被告(58)=自民党を離党、議員辞職。
司法試験、出産…異色の経歴
東京地裁で2025年2月6日に開かれた初公判で、被告は「間違いありません」と起訴内容を認め、右手の親指で目尻をおさえながら異色の経歴を振り返った。
司法試験に苦労して合格し、司法修習中に長女を出産した。その経験から、DVや離婚など家庭内の紛争の対応をライフワークにしてきたが、今回の事件で弁護士業は続けられなくなったという。
被告人質問では、これまでの社会貢献や事件によって受けた社会的制裁を訴えた。
そのうえで、だましとった金の使い道については、被告が感じた「政治家の本音」も語った。
広瀬氏「パーティー券も売れなかった」
「政治にはとてもお金がかかる。私財を投入しなければ自分の政党支部がまわらない」
「だまし取った金は政治活動に使った。政治団体に1千万円を貸し付けている」
「自分には岩手に地盤がない。政治資金パーティー券も売れなかった」
使い道はあくまで政治活動で、私腹を肥やしたわけではない――。被告と弁護人はこう強調し、執行猶予つきの判決を求めた。
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捜査の課題は使途の解明
初公判の約半年前、24年8月下旬。
参院議員を辞職したばかりの広瀬めぐみ氏の詐欺疑惑をめぐり、東京地検特捜部は、捜査の大詰めを迎えていた。
在宅起訴に向け、最後の課題…
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