宗教2世支援の法整備を主張、当事者ら 旧統一教会の解散命令受けて

島崎周 編集委員・北野隆一

 東京地裁が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対する解散命令を決定したことを受け、宗教団体の信者の親をもつ2世らの団体が26日、東京都内で会見を開いた。「解散命令は2世の問題の解決には直結しない」として2世を守るための法整備を訴えた。

 会見を開いたのは、旧統一教会やエホバの証人の2世らでつくる一般社団法人「スノードロップ」と、任意団体の「宗教2世問題ネットワーク」「JW児童虐待被害アーカイブ」のメンバー。

 東京地裁の決定では、旧統一教会に関し、資金面の問題で信者本人や近親者らの生活に「重大な支障が生じ、長期間にわたって深刻な影響を受けた者が相当数存在すると推認され、重大」と指摘された。この点について、会見で出席者は、2世の被害も含まれるとして「意義は大きい」と評価した。

 一方、2世が親から宗教活動を強制されたり、生活や進路が制限されたりするような実態があると主張。宗教団体や関係者による思想や生活などの制限を明確に禁じるための法整備や、2世の相談窓口の設置が必要だと訴えた。

 会見に出席したスノードロップ代表の夏野ななさん(仮名)は「宗教を強制されたことで、精神的な後遺症を患い、人生そのものが奪われた。長年にわたって苦しんできた2世たちがいる。同じ過ちを繰り返すようなことがあってはならない」と話した。

 一方、旧統一教会の信者10人も26日、東京都内で記者会見し、「解散命令は納得いかない。信仰活動が難しくなる。国から存続してはいけないと言われた宗教団体で信仰を持つことについて、信者が傷つき涙を流している」と訴えた。

 地裁決定で多数の被害が認定されたことについて、参加者の1人は「献金をしすぎて生活に苦しんでいる人がいることはわかっている。無理に献金して後悔している人に、教団は真摯(しんし)に向き合って精いっぱいのことをすべきだ。ただその件と、教団が解散しなければいけないというのは話が別だ」と話した…

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この記事を書いた人
島崎周
東京社会部|文部科学省担当
専門・関心分野
性暴力、性教育、被害と加害、宗教、学び、人権
北野隆一
東京社会部
専門・関心分野
北朝鮮拉致問題、人権・差別、ハンセン病、水俣病、皇室、現代史
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