第5回「大学教育の質向上が最重要」 東大・両角教授が読み解く中教審答申

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聞き手・増谷文生

 少子化が進むなか、大学など高等教育機関の今後のあり方について、中央教育審議会が答申をまとめた。議論を重ねた中教審の特別部会に参加した東京大大学院の両角亜希子教授にポイントを聞いた。

――答申のもっとも重要なメッセージは

 今後18歳人口が急速に減るなか、大学や学生定員も減らすべきだという議論が社会で根強い。答申でも、全部の大学が今の規模や形で生き残っていくことは不可能だと認めている。

 しかし、日本社会が維持・発展していくにも、複雑で難しい社会問題の解決を探っていく上でも、一人ひとりの知的水準を上げる必要がある。そのために大学の役割はきわめて大きい。教育や研究の質をさらに向上させる必要があるし、大学院の役割も重要だ。答申のタイトルに入った「知の総和の向上」には、こうした思いが込められている。

 今回は、質の向上、規模、アクセスという三つの論点に基づき議論された。中でも、私は質向上が最も重要だと考える。

――学生確保に苦しむ地方大学についての議論が注目された

 近年の高等教育政策では、地…

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この記事を書いた人
増谷文生
論説委員|教育担当
専門・関心分野
教育(主に大学)、運輸
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    亀田制作
    (SOMPOインスティチュート・プラス)
    2025年4月2日18時47分 投稿
    【視点】

     この連載シリーズでも指摘されているように、人口減少はその地域の大学の存続に多大な影響を及ぼしますが、逆に大学の消滅もまた、地域人口(とくに若者)の減少を加速させる要因の一つになります。  半ば宣伝のようになって恐縮ですが、私が勤務するシ

    …続きを読む