第3回女性に昇格チャンスが少ない「二つの原因」 キャリア初期から男女差

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編集委員・山下知子 中山美里 篠健一郎

 「なんで180時間しか残業してないの?」

 30年ほど前のこと。西日本の政令指定都市で財政局の職員だった当時30代の男性は、上司からそう詰められた。

 財政の仕事は、予算編成が大詰めを迎える年末から年明けにかけてが最も忙しい。同僚は皆、月200時間を超える残業が続いていた。

 男性は1月、体調を崩して早めに帰宅することがあった。同僚より残業時間が少ないことに上司が気付き、疑問に思ったらしい。

 女性がほとんどいない職場だった。男性は「時間的にも体力的にも精神的にもハードな仕事。女性には無理だろうというのが『常識』だった」と振り返る。

 男性も、激務の連続に心身が限界を迎えていた。ほどなく病気休職に。そのまま財政局を離れると、戻ることはなく、定年は出先機関で迎えた。

財政部門のトップ部局長に女性はゼロ

 朝日新聞が、全国の指定市の…

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この記事を書いた人
山下知子
編集委員|週刊アップデート編集長
専門・関心分野
教育、ジェンダー、セクシュアリティ、歴史
中山美里
デジタル企画報道部
専門・関心分野
データ分析、働き方、ジェンダー、環境
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    小室淑恵
    (株式会社ワーク・ライフバランス社長)
    2025年3月16日19時48分 投稿
    【視点】

    他国では女性活躍や少子化対策の解決策として「社会全体の労働時間圧縮」をしているが、日本は今まで「22時までの延長保育で支えて、長時間労働できる女性を作る」政策をしてきた。はっきり言って、これが日本社会を負のスパイラルに陥らせている。 シカ

    …続きを読む