拡大する写真・図版韓流ドラマ好きの同僚同士で、休憩時間にたわいもない話をする=東京・築地の朝日新聞東京本社

 「雑談」って無駄なものに見えますが、実は人間関係の構築や職場の生産性の向上に、とても重要な意味をもっています。でも「どうも雑談が苦手で……」という人、決まったテーマがないとどう話を続けていいかわからない人も、少なくないのでは。そこで応用言語学が専門で「雑談研究の第一人者」である清水崇文・上智大学教授に、そのコツや効用について聞きました。

     ◇

 ――そもそも「雑談」の定義って、何ですか?

 辞書を引くと、「とりとめのない会話」「はっきりした目的も、まとまりもない話」などとありますが、私はもっと深いものだと思っています。雑談には、当事者間のラポール(信頼関係)を築き、良好な人間関係を育み、物事を円滑に運ばせる、というちゃんとした目的があるのです。お互いに自分のことを話すことで(相互自己開示)、他人を身近な存在としてとらえ、信頼関係を築いていく、というのが雑談の本質です。

 ――なるほど。でも生産性を追求すべき職場でも、雑談は必要ですか?

 はい、とても大事です。職場の人間関係を良好にする、有効なツールだからです。国内外の様々な調査研究で、「職場に親友がいる人は、エンゲージメント(社員が会社に対して抱く愛着や貢献意欲)が7倍高い」「『短時間でも雑談していること』が、離職意向の減少に最も影響する」などの結果が出ています。

 雑談を重ねることで、社員の間…

この記事は有料記事です。残り3022文字
ベーシックコース会員は会員記事が月50本まで読めます
続きを読む
現在までの記事閲覧数はお客様サポートで確認できます
この記事は有料記事です。残り3022文字有料会員になると続きをお読みいただけます。
この記事は有料記事です。残り3022文字有料会員になると続きをお読みいただけます。