「パレスチナは国家」世界4分の3すでに 承認の意味、未承認の背景

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聞き手・岩田恵実

 イスラエルによるガザ侵攻が続くパレスチナ自治区。5月のスペイン、ノルウェー、アイルランドに続き、スロベニアも今月、パレスチナを国家として承認すると表明しました。国連加盟193カ国中、パレスチナを国家として認めている国は、実は140以上にのぼり、認めていない米国や日本などは少数派です。その背景や今後の見通しについて、パレスチナ関係担当大使やレバノン大使を歴任した元外交官の大久保武さんに聞きました。

 ――パレスチナは1988年に「独立」を宣言しました。どのような国々が承認しているのでしょうか。

 まずはパレスチナ独立国家の樹立を大義として掲げるアラブ諸国です。国連安全保障理事会常任理事国ではロシアと中国も88年に承認しています。

 93年には「オスロ合意」によってイスラエルとパレスチナが国家として共存する「2国家解決」を目指す方向性が示されます。これを機に、中東和平プロセスが始まり、パレスチナを国家承認することで和平交渉を後押しする機運が国際社会に生まれました。

 もちろん、パレスチナを国家承認すれば対アラブ外交をより円滑に進められるという側面もあるでしょう。

生殺与奪の権握るイスラエル

 ――なぜパレスチナは国家承認を求めてきたのでしょうか。

 国家樹立は民族の悲願です…

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この記事を書いた人
岩田恵実
瀋陽支局長
専門・関心分野
中国、事件、災害
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    越智萌
    (立命館大学国際関係研究科准教授)
    2024年6月18日11時5分 投稿
    【視点】

    国家承認が国家の成立にとってどのような法的効果を持つのか、には理論的に未解決の問題があるといわれてきましたが、少なくとも国家として認めるということは国家に備わる根本的な権利を認めつつ、自国と対等な存在であることを認めることになります(主権平

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