トランス女性の権利は? 英最高裁が残した重い問い、現場から考える

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ロンドン=藤原学思
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 時計台「ビッグベン」で知られる英国会議事堂を見つめる形で、1人の偉人の像がたっている。

 女性の参政権獲得のために奔走した経済学者、ミリセント・フォーセット。死去1年前の1928年、英国では男女平等の参政権が認められた。

 それから1世紀近く。2025年4月16日朝、像の前には「女性の権利」を訴える女性たちの姿があった。《女性は生まれるものだ》。手に持つ紙片には、そう記されている。

 像の背後にある最高裁はこの日、2010年成立の平等法に基づく保護を受ける「女性」について「生物学上の女性」とする判断を下した。

7年前、スコットランドで始まった

 訴訟の発端は、18年にさかのぼる。

 スコットランド議会が、公的…

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この記事を書いた人
藤原学思
ロンドン支局長
専門・関心分野
ウクライナ情勢、英国政治、偽情報、陰謀論
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    仲岡しゅん
    (弁護士)
    2025年4月18日17時25分 投稿
    【視点】

    トランスジェンダー当事者の友人から、悲観の声と共にこの判決に関するニュースをシェアされて判決文を読んだ。 しかし私は、良い意味でも悪い意味でも、特に驚くことなく冷静にこの判決を受け止めている。 それは主に、以下の二つの理由による。 まず、

    …続きを読む