「みえない踏切」で大けが 整備が進まない誘導路、一筋縄でない事情
渡辺萌々香
目の不自由な人が、踏切で事故に遭う例が全国で起きている。遮断機や警報機があっても「みえない」踏切。どうすれば事故を防げるのか。取材すると、安全対策が一筋縄ではいかない課題が見えてきた。
【動画】目が不自由な人にとって危険な「みえない踏切」。その対策と課題を取材した=伊藤進之介、渡辺萌々香撮影
大阪市住吉区にある南海電鉄の踏切で昨年8月、視覚障害のある男性が電車に接触する事故があった。命に別条はなかったものの、胸や足の骨が折れる重傷を負った。
事故に遭った吉川英治さん(65)は、数年前に緑内障を患い、左目の視力がほとんどない。右目は白と黒の識別がつく程度だ。当日、近くのコンビニで買い物を済ませ、白杖(はくじょう)を突きながら踏切に足を踏み入れた。
軌道が上下2本、幅11メー…