「次は家族と一緒に」 外国人労働者の資格、広島県が後押しする理由
人手不足を補うためにできた外国人労働者の「特定技能制度」。このうち永住につながる「特定技能2号」で対象分野が広がるなか、広島県では「造船」と「農業」で全国初の合格者が出た。背景には、都市部への人材流出を食い止めるための官民一体の対策がある。
広島県尾道市の因島にある工業団地。造船業を約70年続ける因島鉄工の鉄骨を溶接する作業場で、防護マスクをつけたベトナム出身の3人が母国などから来た後輩を熱心に指導していた。「私たちもここで優しく教えてもらったから」。そう言って汗をぬぐった。
3人は2022年、3年以上の実習経験者が最大5年働ける造船分野の「特定技能1号」の資格で来日した。昨年10月に「2号」の試験に合格し、資格を取得した。
日本で働ける期間の制限はなくなり、家族も呼び寄せられる。昨年6月に結婚したファン・ヴァン・マインさん(35)は「一緒に日本で暮らしたい」、5人兄弟の末っ子のグエン・フー・タイさん(32)は「両親のために日本でたくさん稼ぎたい」、母国に子どもが2人いるグエン・ヴァン・チャイさん(30)は「工場長をめざして頑張りたい」と喜ぶ。
13社が操業する団地は人口減少などで働き手の確保に苦しみ、ベトナムやインドネシアからの外国人労働者の存在が欠かせない。同社によると「働くのは島民と外国人が半々くらい」という。
ただ、頼りの外国人も多くが期限で帰国するのが悩みだった。4月には造船の鉄工区分でも「2号」の試験が始まる予定で、別の外国人従業員が試験に挑むという。同社は「蓄積したノウハウを3人が伝えてくれるのは強みになる」と期待する。
各分野で試験がスタート 「スキルアップに」
特定技能は19年に導入され…
- 【視点】
とても明るく、嬉しいニュースだと思いました。友人の1人が日本で働きたい外国人と日本の企業を結び付けるコーディネートをしています。その友人に会うたびに実はかなりの苦労話を聞かされます。主なものが、外国人が日本の厳格な就労文化を理解できずにトラ
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