「誰もやってくれない」政倫審、身を捨てるしかなかった孤独の首相
藤原慎一 今野忍 三輪さち子 松井望美
衆院政治倫理審査会への出席という岸田文雄首相の決断は、裏金事件の当事者たちを引っ張り出すことには成功した。ただ、それと引き換えに事件をめぐる自民党総裁としての責任はさらに重みを増した。政権の機能不全と首相の孤立もあらわになってきた。
28日午前、記者団の前に現れた首相の表情はこわばっていた。公開の是非をめぐり開催のめどが立たない政倫審の調整状況を自ら説明した上で「今の状況では国民の政治に対する信頼を損ね、政治不信も深刻になる」と述べ、党総裁として出席する考えを示した。
そして出席を申し出ながら、野党の公開要求を拒む安倍派幹部ら5人を念頭に「志のある議員に説明責任を果たしてもらうよう、あらゆる場で、これからも努力してもらうことを期待している」と語った。発言を聞いた岸田派の閣僚経験者はこう言った。「首相は怒っていたな。『志ある議員』という言葉が全てを象徴している。出なければ『お前たちには志がない』ということになる」
■もろ刃の剣の決断、この先の…
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