またとない景色…試験湛水で満水の立野ダムにぎわう

城戸康秀
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 【熊本】巨大なコンクリートの斜面を流れ落ちる水、水にひたる赤い鉄橋――。3日夜に「試験湛水(たんすい)」で立野ダムが満水となった。満水になるのは150年に1度クラスの大雨に見舞われた時とされ、3、4日には、珍しい景色をひと目見ようと大勢の人が詰めかけた。

 試験湛水は1月15日に始まり、3日夜には最高水位の標高276メートルに達し、最上部から水があふれだす「越流」が始まった。流水型の立野ダムは、本体下部の3本の放流孔から常に水を流すが、試験湛水では放流孔をふさぎ、白川の流量を維持しながら水をためてきた。

 ダムの上流約1・2キロにある第1白川橋梁(きょうりょう)は南阿蘇鉄道随一の絶景ポイント。日頃は眼下約60メートルに白川の流れを見下ろすが、切り立った岩壁は姿を消し、赤い鉄橋の橋脚部分も水没した。

 南阿蘇鉄道などは「生きているうちに1回あるかどうかの光景」としてダム周辺をめぐるツアーを企画した。地元・みなみあそ観光局のツアーは2日間で計10回の予定だったが、応募が殺到。計16回に増やしても予約で埋まったという。

 ツアーでは、参加者に「絶景」を楽しんでもらいながら、ガイドがダムの役割や仕組みだけでなく、熊本地震での被害や復興の歩みを説明していた。

 試験湛水は4日まで最高水位を維持した後、5日午前10時から3日ほどかけて水を流す。白川の水位上昇で熊本市内では川辺の遊歩道が冠水する恐れがあり、国土交通省は川に近づかないよう呼びかけている。(城戸康秀)

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