田村智子氏が直面する共産党の「壁」 政治学者が語る党勢拡大の条件

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聞き手・三輪さち子
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中央大学の中北浩爾教授(政治学)

 志位和夫前委員長の在任が20年を超え、党内では長すぎるという批判がくすぶっていた。党はジェンダー平等に力を入れており、女性で人気がある田村智子氏を委員長に選んだのではないか。ただ、田村氏はこれまでの宮本顕治、不破哲三、志位の各氏とは違い、マルクス主義の理論家とはいえない。不破氏の引退も加わり、党の理論的水準の低下に拍車がかかりかねない。

 共産党の場合は、前指導部が次の指導部を推薦する形で人事を行い、自由で公正な選挙は事実上、実施されない。継続性が担保される一方で、変化は生みにくい。今後も志位氏による「院政」が予想される。

 志位氏の最大の功績は、2015年の安保法制反対運動を契機に野党共闘に踏み出したことだ。「自衛隊活用論」など柔軟性も示した。しかし、日米安保条約の廃棄を掲げる革命政党であり続けたため、野党共闘は行き詰まった。

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