AIで翻訳加速、精度も向上へ 読み込ませた57万件の法令文書

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久保田一道 青田秀樹
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 法令の翻訳を加速させるため、政府はAI(人工知能)の導入に乗り出した。グローバルな取引に関わる企業にとって、法令の翻訳は事業の基盤であり、需要は高い。スピードアップに加え、精度の確保も課題となる。

 「基本用語の翻訳の標準化や外国語訳の体系的整備がなされておらず、韓国などのアジア諸国と比べても極端に後れをとっている」

 経団連は2004、05年、法令翻訳について意見をまとめた。外国企業との交渉や訴訟▽共同事業の実施▽外国人労働者との雇用契約の締結▽海外の機関投資家への説明――といった場面で翻訳が必要になるたび、個別に委託し、「膨大なコスト」がかかると訴えた。

 政府は09年、日本法令外国語訳データベースシステムの運用を始めた。21年度の1日あたりの平均アクセス数は約16万回で、5年間で3倍になった。昨年6月末までのアクセス数が最多だったのは会社法銀行法金融商品取引法民事再生法も上位で、ビジネスに関わる法令の需要が高い。

 京都国際調停センターの小倉隆事務局長代行は「自前で翻訳していた時代を考えれば、大きな変化だ」と評価する。

 19年に大手ゼネコンを退職…

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    鳥海不二夫
    (東京大学大学院教授)
    2024年1月14日17時0分 投稿
    【解説】

    一般に法律関係の文章などは定型的に書かれることが多いため,AIにとって翻訳しやすいと言われていました.一方で,少しのニュアンス違いが大きな違いとなる可能性もあるため,通常の文章よりも高い精度が求められます. そのため,通常の翻訳アプリでは対

    …続きを読む