第1回「命をつなぐ」がれきの下に潜った医師 現場で戦うDMATの使命
太田原奈都乃
「防ぎ得た死」をなくす――。そんな使命のもと、災害や事故の現場に昼夜を問わず急行する医療チームがある。
2011年3月11日。東日本大震災の震源から300キロ以上離れた東京都内も、強い揺れに襲われた。
「町田市のスーパー、倒壊ある模様」
日本医科大学多摩永山病院に勤務していた救急医、諸江雄太医師(57)=現在は日本赤十字社医療センター=は消防からの要請を受け、すぐに現場に向かった。
大型スーパーの駐車場につながるスロープが、約100メートルにわたって崩落。買い物客の男性が車ごと下敷きになり、身動きがとれなくなっていた。
男性は、意識はあった。しか…