「死にたい」訴える子ども、コロナ禍前の1.6倍 相談相手少なく
コロナ禍は、子どものこころにも大きな影響を与えた。一方で思春期のうつ病は正確な診断が難しい上、専門医も少ないといった課題がある。
2022年の小中高校生の自殺者は514人と、過去最多を記録した。この514人を含む19歳までの1006人のうち、原因や動機がうつ病とされたのは79人だった。
国立成育医療研究センターが全国の子どもの心を診る医療機関を対象に調査をしたところ、「死にたい」と思う希死念慮の状態が外来で見られると診断された20歳未満の子どもは、22年度は214人いた。調査を開始した19年度と比べると、1・6倍に増えていた。
自殺を図った自殺企図者も22年度は110人と、19年度の1・7倍に増えていた。
21年末の別の調査によると、小学5年生~中学3年生に抑うつ症状が見られる場合に相談するかどうかを尋ねたところ、アンケートに回答した2325人のうち、相談せずに様子を見ると答えたのは小学生の25%、中学生の35%にのぼった。
調査にあたった同センターの森崎菜穂社会医学研究部長は、オンライン授業などでリアルでのコミュニケーションの機会が減った時期があったことにより、気を許した友人や教員以外には話しかけづらくなっていると指摘。「相談したり自分の感情を表に出したりできる相手がコロナ前よりも減っているのではないか」と話す。
日本うつ病学会のガイドラインによると、気分が落ちたり興味がなくなる、「死にたい」という希死念慮があるなど9項目の指標のうち、2週間以上にわたり5項目以上の指標があり、仕事や学校生活に何らかの影響を起こしている場合に「うつ病」と診断される。
思春期の場合、いらいらすることもその指標に入っている。ただ、気分が高ぶり活動的になる躁(そう)の時期とふさぎ込む抑うつの時期を繰り返す双極性障害を発症しやすい年代でもあり、正確な診断が難しいという。
思春期に抗うつ薬を使うと、希死念慮や自傷行為が増えたという治験結果もあり、薬を使うかどうかは患者の状態に応じて慎重に判断されている。
千葉大こどものこころ診療部の佐々木剛医師は「思春期のうつ病と診断されても、その後、双極性障害に移行する子もいる。その都度の評価が必須だ」と語る。
ただ、子どものこころを見る児童精神科医は少なく、初診まで半年~1年ほど待たなければならない例も多いという。
児童精神科医不足について、成育医療センターの森崎さんは「国も解決しないといけない問題」と話す。千葉大の佐々木さんも、成人と小児のはざまにある思春期の患者は、成人の精神科と児童精神科、どちらの科からも診てもらえないことがあると話す。
こうした事態に対応しようと…
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- 【提案】
【あまりに未整備な子ども若者の自死対策】子どもの自殺の理由の最多は不明(62.0%)、中高生が95.4%です。小学生の自殺者数は19名ですが令和2年度が7名だったことを考えると危機的状況です。 *文部科学省「令和4年度児童生徒の問題行動・
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