ミャンマーでM7.7の地震 144人死亡732人負傷 タイも被災
ミャンマー中部を震源に28日発生したマグニチュード(M)7.7の地震は、隣国タイまで広範囲に被害が及び、タイの首都バンコクでは死傷者が出ている。ミャンマーで全権を握る国軍は震源地に近い第2の都市マンダレーなどの被災地に非常事態を宣言。同日夜に「144人が死亡し、732人が負傷した」などと発表したが、被害の全容は分かっていない。
米地質調査所(USGS)によると、地震は現地時間の午後0時50分ごろ発生。震源はミャンマー中部マンダレー付近で、震源の深さは約10キロ。
ミャンマー国軍は声明で、多数の負傷者が病院に搬送されているとして、緊急献血を呼びかけた。
地元メディアによると、マンダレーではかなりの被害が起きているようだ。同市内のミャンマー最後の王朝コンバウン朝の王宮内で建物や外壁が崩れたほか、市内の5階建てほどの住宅が複数倒壊している。英BBCは川にかかる大きな橋が崩落している映像を流した。
マンダレーに住む女性(39)は「アパートが大きく揺れ、棚も何もかもが倒れた」と振り返る。市内では地震の影響でインターネット通信と電気が止まっているという。
震源地に近い中部メティラーの女性(45)は電話取材に、付近の縫製工場が倒壊したと明かした。閉じ込められた人々の救出作業が続いているが「死者は20人を超えた」という。
発生当時、記者はミャンマーの首都ネピドーからヤンゴンに向かう車中にいた。走行中に突然運転手がハンドルを取られ、路肩に急停止した後、1分近く強い揺れを感じた。
強い揺れに記者も遭遇 複数の被害情報
周囲では大型バスから降りて、戸惑う団体客の姿のほか、地震の影響とみられる亀裂が入った橋も複数みられた。
ネピドーで暮らす20代女性は「冷蔵庫や棚が倒れ、恐ろしかった」と話した。ネピドー中心部では建物が損壊しているという。
震源から1千キロほど離れたバンコクでは、建設中だった33階建ての政府機関のビルが倒壊し、公共テレビPBSによると7人が死亡、作業員ら約90人ががれきの中に閉じ込められたとみられている。PBSの映像では、ビルは数秒で完全に崩れ落ち、叫びながら走って逃げる作業員らが、砂煙に包まれる様子が見える。別の場所でも建設用クレーンが建物から落ちるなどして1人の死亡が確認されたという。
バンコク中心部では地震発生の現地時間午後1時20分ごろに中程度の揺れが2分近く感じられ、オフィスビルやデパートなどにいた人たちが一気に屋外へ避難し、路上にあふれ出た。
PBSは、高層マンションの棟と棟をつなぐ上層階の通路から壁などが落下し、屋上のプールの水が大量に周辺に飛び散る映像を流した。病院では、担架などで入院患者を外に避難させている。バンコク市内では、高架鉄道や地下鉄が運行を停止し、道路も渋滞で車が動かなくなった。バンコク都知事は同日午後、首都全域を「被災地域」に指定。帰宅困難者のために市内の公園を開放すると発表した。
バンコク中心部にある朝日新聞アジア総局では揺れで棚の本が落ち、引き出しが開くなどした。隣のデパートの壁には小さな亀裂が入った。バンコクで地震の揺れを感じるのは非常にまれで、会社員の男性(25)は「生まれて初めて地震の揺れを感じた」と話した。
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- 【視点】
軍政下のミャンマー軍事政府であっても、外交上の障壁を超えて、ミャンマー大地震の被災地に対して大規模な国際支援を展開すべきである。 「人間の安全保障」から「人権の安全保障」へと移行するこの時代において、政治体制を超えて人道主義こそが安全保障だ
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