窮地の首相を誰も降ろせない自民 ささやかれる「連立政権拡大論」
政権発足から半年。内閣支持率の低迷に直面する石破茂首相にとって、局面打開の好機となるはずの記者会見は不発に終わった。自民党内の遠心力は強まる一方だが、交代論も高まらない。内閣不信任案可決のカードを握る野党もまとまらず、「何となく、政権継続」の様相を濃くしている。
「世に言う『ケチだね』みたいなことをずっと言われてきて、気にする部分が相当にあった」
冒頭、商品券配布問題の陳謝から始めた首相だが、その後35分間は一方的に語り続け、質疑応答は幹事社2問を含む4問のみ。計50分間の記者会見は、さながら首相の独演会だった。
「ミャクミャク」手に… 慣れない演出の影で
高額療養費制度の見直しについては「ご迷惑をおかけした」と反省を示しつつ、「熟議の国会の成果だ」と強調。工事の遅れが指摘される13日開幕の大阪・関西万博は、公式キャラクター「ミャクミャク」のぬいぐるみを手に持ち「新たな日本の希望を開き、楽しい日本を発見していただく」。慣れない演出を用いた懸命のアピールが続いた。
だが、画面を使った政策課題の説明は既視感のある内容で、後半国会で注目されそうな選択的夫婦別姓なども言及せず。「政治とカネ」に関する政治改革には触れたが、実態解明が進まない派閥の裏金問題は触れずじまいだった。
少数与党の状況はなお解消されず綱渡りの政権運営が続く一方、東京都議選や参院選などの大型選挙が夏に迫る。その日暮らし感さえ漂う石破政権の姿に、自民内からも厳しい声が出始めている。
「やはり国民がやってほしい政策をしっかり掲げること。芯をとらえた政策を打ち出さないと」
3月29日の民放番組。小泉進次郎衆院議員が放った苦言は、政権が危機にあることを如実に示すものだった。
小泉氏が注文したように、自民内にくすぶる不満の多くは、首相の打ち出しの弱さに起因する。国民民主党の公約である所得課税ライン「103万円の壁」の引き上げや、日本維新の会の高校授業料無償化など、国民生活に直結する具体策に乏しい。この日の会見でも、持論である地方創生や防災庁設置を訴えたが、「何をやりたいのか、まったくわからない」(自民中堅)との指摘は絶えない。
窮地に立つ首相だが、「石破降ろし」も高まらない。なぜか。
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