なぜイスラエルを非難しないのか?欧州の「二重基準」と「負の歴史」
イスラエルによるパレスチナ自治区ガザ地区の空爆を非難しない欧州諸国の姿勢に、アラブ諸国などから「二重基準」との批判が強まっています。多くの民間人を犠牲にしながら空爆を続けるイスラエルを欧州はなぜ非難できないのか。フランスの高等教育機関コレージュ・ド・フランスのアンリ・ローラン教授(アラブ現代史)に聞きました。
――欧州は「二重基準」との批判をどう受けとめているのでしょうか。
欧米諸国の指導者たちは、自分たちの言動が「二重基準」と認識していないでしょう。実際には、彼らは「イスラエル人には自衛の権利がある」と言いますが、「パレスチナ人には自衛の権利がある」とは決して言いません。そうした姿勢が欧米以外の世界から「二重基準」とみなされています。
今回の危機の長期的な解決策として、バイデン米大統領もマクロン仏大統領もパレスチナ国家の独立を前提とする「2国家解決」に言及しました。しかし、イスラエルによるヨルダン川西岸などの「植民地化」や「占領」には触れていません。
1967年6月の第3次中東戦争(6日間戦争)をめぐって、フランスのドゴール大統領は同年11月の記者会見で、「どんな占領も抵抗を生む可能性があり、あらゆる抵抗はテロリズムと呼ばれる」と述べ、イスラエルによるパレスチナ領土の占領を非難しました。 ただ、ドゴール氏以降、西側諸国の政治家からイスラエルを非難する発言を聞いたことがありません。欧米にとって、パレスチナとはあくまでも人道支援の対象で、武器を提供して支援するような政治的な対象ではないのです。
――なぜ欧米諸国はイスラエルを非難できないのでしょうか。
イスラエルとパレスチナの問…
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イスラエル・パレスチナ問題
イスラム組織ハマスが2023年10月7日、イスラエルに大規模攻撃を行いました。イスラエルは報復としてハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザ地区に攻撃を始めました。最新のニュースや解説をお届けします。[もっと見る]