同じ傘下で奪い合い、シェア重視の限界 三井住友海上とあいおい合併
損害保険業界3位の三井住友海上火災保険と、4位のあいおいニッセイ同和損害保険が合併し、規模として国内首位の損保会社が生まれる。損保業界は合従連衡が進み、3メガグループに集約されてきた。しかし、この両社は3メガで唯一、持ち株会社の傘下に中核2社が併存し、損保再編の「ラストピース」と呼ばれてきた。なぜ、いま合併に向けて動き始めたのか。
「この局面においてスピーディーに判断していく必要がある。数カ月、半年、1年かけて出す結論は、そう違うものではない」
昨年9月の投資家向け説明会。持ち株会社MS&ADインシュアランスグループホールディングス(HD)の船曳真一郎社長は、2社の合併について問われ、こう語った。
三井住友海上の社長である船曳氏が、MS&ADHD社長を兼務したのは、この3カ月ほど前だった。説明会での発言は社内外に、新トップが一歩踏み込んだ、と受け止められた。
それまでの「公式見解」は、「合併は選択肢の一つではあるが、『機能別再編』をさらに進める」などというものだった。
機能別再編は、その分野に強みを持つ方に事業を寄せる戦略のことを指す。航空や船舶の保険を三井住友海上だけが販売したり、両社が乗り合っている自動車保険の代理店をあいおいニッセイ同和だけの委託契約にしたり、2社が併存したまま相乗効果を出そうとしてきた。
国内市場は頭打ち カルテル事件の余波も
MS&ADがいまの形になったのは2010年にさかのぼる。約15年の間に、合併の観測は浮かんでは消えていった。ハードルの高さの背景には、それぞれの企業文化の違いがある。
両社は営業の現場ではいまも…
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