低投票率と無関心の正体を読み誤るリベラル 大島新監督が見た分断
選挙のたびに指摘され分析されてきた低投票率現象と「政治への無関心」。それは有権者の「意識の低さ」ゆえなのか、それとも無力感の表れなのか――。野党政治家に密着取材した「なぜ君は総理大臣になれないのか」や、選挙戦の現場に肉薄した「香川1区」を撮ってきたドキュメンタリー監督の大島新さんに、日本人の政治意識について聞いた。
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国葬への賛否 「なんとなく」がほとんど
公開中のドキュメンタリー映画「国葬の日」では、文字通り、安倍晋三元首相の国葬が行われた昨年9月27日を切り取りました。全国10都市で回したカメラが映したものは、日本の有権者、つまり私たちの自画像だったように思えます。
当時、世論調査で国葬への賛否は真っ二つに割れ、「分断」が叫ばれていました。でもその見方に僕は懐疑的でした。賛成にしても反対にしても「どちらかと言えば」というふわっとした意識に基づくもので、確固たる意思で支持した人、国会前に集い反対の声を上げた人、どちらも限定的だったと思います。むしろ、こうした少数派と、圧倒的多数の無関心層との間の溝こそ「分断」と言えるものでした。
多数派の世論は空気によってどちらにも変わり得る。安倍元首相が亡くなった2日後に行われた参院選で自民党を大勝させたのも日本の有権者です。2020年に安倍元首相が辞意を表明した際、コロナ対策の不備などで低迷していた内閣支持率は、一部メディアの調査で上昇していました。これも「ふわっとした」情緒に左右されたもので、世論調査など当てにならない、と言いたくなる現象でした。
「政治に無関心」と言い切れるのか
ただ、「国葬に無関心」=「…
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- 【視点】
「リベラルの側には、投票率が上がれば自分たちに有利だと思い込んでいる人も多い」 →これは本当にそのとおり。投票率が上がれば野党側が勝つというわけではない。 直近4回の総選挙の投票率を見ると、4回連続で50%台になっている。 htt
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