老化を抑える効果が期待される物質「NMN」のサプリメント商品で、NMNの成分が検出できない商品が大手通販サイトで売られていたことが朝日新聞の調査でわかった。いずれも人気の商品で、利用者が実態を知らずに買っている恐れがある。
朝日新聞は楽天とアマゾンで売れ筋のNMNサプリについて、ラベルの表示どおりにNMNが配合されているかどうかを7~8月に調べた。
調査の対象は、楽天でレビューが多い5商品、アマゾンで1カ月間の売り上げが多かった3商品。価格は1袋1千~5千円台とどれも比較的安い。重複する1商品をのぞく計7商品を各サイトで購入し、NMN(β-NMN)の配合割合の分析試験を検査機関に依頼した。NMNの原料やサプリの分析を数多く手がけた実績のある検査機関だ。
その結果、5商品からはラベル表示をやや上回る割合のNMNが検出され、2商品はNMNが検出されなかった。2商品は「高速液体クロマトグラフィー」で検出できず、より微量でも特定できる「液体クロマトグラフィー質量分析法」でも同じ結果だった。
これらは、検体の成分を分離して割合などを分析するために医薬品や環境分野などで広く使われている手法だ。
「飲んでから肌の調子がいい」
今回の検査でNMNが検出できなかった商品の一つは楽天で500以上のレビューがあり、もう一つはアマゾンで月間2千点以上が売れていると表示されていた。
それぞれの商品ページには、利用者のこんなコメントが並ぶ。
「体が若返るよう期待を込めて、初のNMNサプリを頼みました」
「認知症の症状がある母のために購入。少しでも効果があれば」
「飲んでから肌の調子が良く、朝もすっきり起きられるようになった気がします」
NMNを検出できないNMNサプリが、なぜ売られていたのか。
10月初め、2社の拠点がある首都圏近郊の町へ向かった。
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