酪農王国・北海道が肉牛産出額でも全国1位に ブランド化で全国へ

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畑中謙一郎
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 「酪農王国」の北海道が、畜産の分野でも地位を上げている。国が昨年末に発表した2023年の農業産出額統計で、道産肉用牛の産出額が「畜産王国」と呼ばれる鹿児島を抜き、初めて首位となった。

 統計によると、北海道の肉用牛の産出額は前年比21億円増の1224億円。20億円減の1208億円だった鹿児島県は国が統計を取り始めた1960年以降、初めてトップの座を譲り渡した。

 23年は物価の上昇で黒毛和牛の需要が低迷して価格相場が下落。和牛が9割以上を占める鹿児島の産出額がもろに影響を受けた。

 一方、北海道で肥育される肉用牛の構成は、和牛とホルスタイン(ホルス)、雌のホルスと雄の黒毛和牛を交配させた交雑牛がほぼ同じ比率だ。

 「3種類の牛の絶妙なバランスが北海道の強み。和牛の相場は下落したが、ホルスと交雑牛の価格は崩れなかった」。ホクレンの幹部はそう解説する。

 ホルスは乳用牛の代表格としてあまりに有名だが、雄は肉用牛として肥育される。脂肪が少なく、歯ごたえのある赤身が特徴。交雑牛は和牛の脂肪と赤身のうまみを兼ね備える。和牛に比べて安価で、スーパーなどで「道産牛」「国産牛」として売られている肉の約9割がホルスと交雑牛だ。

北海道内に100を超える銘柄

 近年、道内では畜産業界を挙…

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この記事を書いた人
畑中謙一郎
北海道報道センター|一次産業、スポーツ、自衛隊など
専門・関心分野
スポーツ全般、食、酒、旅
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    筒井一伸
    (鳥取大学地域学部地域創造コース教授)
    2025年4月10日12時54分 投稿
    【視点】

    北海道の肉牛産出額が全国一位。地道な取り組みが実を結んだということであり,関係される皆さんには敬意を表したい。しかしその背景にある牛乳の消費低迷や飼料高騰に原油高といった【王国の看板】である「酪農」を取り巻く厳しい環境変化も忘れてはならない

    …続きを読む