ローカル線「都会目線で切り捨てて良いのか」廃線経過見てきた専門家
ローカル線廃止は地域に何をもたらすのか。JR西日本が今月、広島・岡山両県を走る芸備線の一部区間を対象に「再構築協議会」の設置を国に要請し、存廃論議の行方が注目されている。中国地方では2018年に三江線(三次―江津間)が廃止された。経緯に詳しい、島根大の関耕平教授に課題を聞いた。
シリーズ 線路は続くか
ローカル鉄道の存廃の問題。現場を歩き、関係者へのインタビューを重ねて深めます。
――三江線廃止から5年余りが過ぎました。
廃線前の住民説明会で、代替バスの運行計画が示されたとき、ある住民が「代替になってない」とあぜんとしていた。その危惧が現実になっている。
108・1キロあった鉄道区間を、中短距離の地域のバス路線でつないでいるため、例えば沿線の町から広島県三次市に出かけるなど、地域をまたぐ移動が不便になった。
人数は少ないとはいえ、通院などで利用していた交通弱者への影響が出ている。家族や地域住民が自家用車で送り迎えするなど、目に見えない助け合いで支えている。
JR西は三江線のときも、今回の芸備線の論議でも、「地域のニーズに合った利用しやすい公共交通のあり方を話し合いたい」などと訴え、仮にバス転換しても、より便利になるというイメージを前面に出してきた。実際の三江線の現場では、JR西は代替バスの運行に直接は関与せず、ノウハウのない自治体などが背負わされている。
「自治体や住民に決定権を」
――ほかに、どんな影響が出ていますか?
国交省は以前、廃線が地域に与える影響について、①バス転換によるサービス低下、②通学圏の縮小や高齢者の外出抑制、③地域の活力低下、④路線跡地の管理や代替バスへの補助など行政の負担――の4点に整理している。
加えて将来の可能性も失われ…
【春トクキャンペーン】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら