独自

教授のパワハラでうつ病に 労災認定された女性研究者「私は闘う」

有料記事

藤波優
[PR]

 60代の男性教授から、女性講師へのパワハラが始まったのは6年ほど前にさかのぼる。

 教授が山口大医学部に着任したのはその2年前。当初は、教授の物腰も丁寧だった。それがだんだん「他の先生みたいにもっとちゃんと指導してください」など、女性への物言いが冷たくなってきたと振り返る。

 女性は教授が着任する前から大学にいた。授業や実習に加え、同窓会の理事や学内委員会など、研究以外にいろいろな活動をしていたのが気に障ったのかもしれない。

 教授からは、研究室の業務とは関係のない同窓会理事を辞めるように言われ、従った。それなのに、教授の言動は変わらなかった。そう女性は訴える。

 教授の指示する実験に疑問がわいても、怖くて反論できない。次第に頭痛めまいに襲われるようになった。

 あるとき、新たに実験室を設置することになった。事前に席を移動するように言われていたが、体調不良で休んでいる日に急に決行が決まった。仕方なく出勤して別室にパソコンなどを移しておいた。

 翌日出勤すると、実験ノートや書籍などの私物が廊下に放置されていた。教授の指示で学生がやったという。

 「なぜここまで」

 ショックを受けた女性は、これを機に教授と話し合うことを決意した。

 自分だけに厳しいと感じていること、言い方がきついこと、指示が多すぎて優先順位がわからないこと……。

 勇気を出して伝えると、教授からは思いがけない反応が返ってきた。

 「もっと成果を出すように」…

この記事は有料記事です。残り3056文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【本日23:59まで!】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら

  • commentatorHeader
    本田由紀
    (東京大学大学院教育学研究科教授)
    2023年9月29日8時53分 投稿
    【視点】

    大学内のアカデミックハラスメントがどのような形で起きるのか、記事では詳細に報じられている。この事例では女性は講師というポストにあったが、学部生や大学院生などであればもっとひどい形で生じえる。対象が男性であっても起こりうるが、男性ばかりの集団

    …続きを読む
  • commentatorHeader
    小林恭子
    (在英ジャーナリスト)
    2023年9月29日19時25分 投稿
    【視点】

    よくここまで、女性研究者の方が我慢されましたね。最後まで読んで、これは明らかにハラスメント・いじめではないかと思いました。 1つ、気になったことがあります。教授が突然英語で話す場面が紹介されていますが、なぜ急に英語になったのか、よくわかり

    …続きを読む