シーク教徒、歩んだ歴史は 教徒殺害事件めぐりインドとカナダが対立

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聞き手・浪間新太

 カナダのトルドー首相が今月、カナダ国籍のシーク教徒が6月にバンクーバー近郊で殺害された事件について「インド政府の関与」を主張し、波紋を呼んでいます。シーク教徒とはどのような人たちで、なぜこの事件をめぐってカナダ、インド両国が対立することになったのでしょうか。シーク教徒をはじめとする南アジア系移民を研究する近畿大学の東聖子准教授に聞きました。

 ――インド北部からパキスタンにまたがるパンジャブ地域を中心に世界で2千万人以上のシーク教徒がいるとされます。

 シーク教は15世紀末から16世紀初め、パンジャブで生まれました。「シーク」は、現地の発音により近い「スィク」と表記される場合もあります。シーク教開祖のグル「ナーナク」は既存のイスラム教とそこから派生した神秘主義、ヒンドゥー教の要素を引き継ぎつつ、批判的な解釈を加えました。偶像崇拝禁止や一神教などイスラム教と重なる部分があります。一方、シーク教の教義ではカースト制度など人間を序列化する関係を否定し、男女の差もありません。

 ――頭に立派な「ターバン」を巻いているイメージがあります。

「戦うシーク」 ターバン巻き、刀を常備

 まさにターバンはシーク教徒…

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この記事を書いた人
浪間新太
国際報道部
専門・関心分野
ロシア政治・外交、ウクライナ情勢、国際法