100年前の教訓忘れ、危険度増す現代都市 関東大震災専門家の警鐘

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聞き手・小林直子 伊藤良渓

 9月で関東大震災から100年になります。あの震災から私たちは何を学べばいいのでしょうか。関東大震災研究の第一人者である名古屋大学減災連携研究センターの武村雅之特任教授はこう問います。あなたの街で100年前に何が起きたか、知っていますか?

 《関東大震災は1923年9月1日午前11時58分に発生した。地震の規模はマグニチュード7・9。死者・行方不明者は約10万5千人にのぼった》

東京と神奈川で異なる被害、その理由は

 ――神奈川県内はどのような被害があったのでしょうか。

 「東京と神奈川とでは被害状況がまったく違います。東京は明治維新後のまちづくりが悪く、火災に見舞われ、被害が拡大しました。東京の死者・行方不明者7万387人のうち火災によるものが9割を占めています」

 「一方の神奈川は震源に近く、被害は仕方がなかった側面もあります。神奈川は火山の噴火で降り積もった火山堆積(たいせき)物でできた土地が多く、数多くのがけ崩れが起き、海辺には津波も来るなど、被害が多岐にわたっています」

 《内閣府の防災白書によると、神奈川県内の死者・行方不明者3万2838人のうち8割弱の2万5201人が火災によるものだが、住宅全潰(ぜんかい)による死者・行方不明者は5795人、流失埋没は836人、工場等の被害は1006人だった》

今起きたら、がけ崩れ、津波…

 ――いま、関東大震災と同等の地震が発生したら、神奈川ではどんな被害が想定されますか。

 「まず、至るところでがけ崩…

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この記事を書いた人
小林直子
東京社会部|教育担当
専門・関心分野
子育て・教育、スポーツ