函館「素通り」の危機、新幹線乗り入れに高い壁 どうする大泉市長

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阿部浩明 長谷川潤 編集委員・堀篭俊材
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 北海道函館市の新しい市長、大泉潤氏が公約に掲げた北海道新幹線函館駅への乗り入れ。明治維新の史跡五稜郭やレトロな建築、夜景が全国的に著名な観光地は人口減少で地盤沈下が進む。その起死回生策として期待する声があがるが、現実にはハードルは高い。起爆剤か、それとも夢物語か。さて実現の可能性は?

 俳優の大泉洋さんの実兄が初当選したとあって、4月の統一地方選で行われた函館市長選は話題をさらった。

 その大泉氏は就任早々、公約実現のため新ポスト「新幹線対策担当課長」を置いた。5月16日には札幌を訪れ、JR北海道の綿貫泰之社長や北海道の鈴木直道知事との会談をこなした。

 我がまちに新幹線を通したい――。地方都市ではよくある要望だが、函館市が抱える悩みは切実だ。

 北海道新幹線は現在、函館市から在来線で20分程度の新函館北斗(北斗市)まで開通している。JR北は2030年度末までの札幌延伸を目指している。

 これが実現すると、JR函館線の函館―長万部間約148キロは並行在来線としてJR北の経営から切り離される。そのうちアクセス列車「はこだてライナー」が走る函館―新函館北斗間約18キロも、地元自治体が運行を引き継がなければ廃線になってしまう。青函連絡船の時代には北海道の玄関口だった函館駅は存廃の危機すらある。

 それでなくても札幌へ向かう新幹線利用客に函館を素通りされてしまえば、観光都市にとって大きな打撃となる。

 人口減少対策はまったなしだ。現在約24万人だが、2060年には13万人台に減るという予測がある。大泉氏が選挙戦で「衰退から脱出するためにも、投資を誘えるような起爆剤が必要だ」と訴えたのも、強い危機感の表れだ。

 大泉氏の新幹線乗り入れ構想とはどんなものなのか。

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 それは、函館―新函館北斗間…

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