鉄道150年、官と民とのせめぎ合い 国家像と直結、今後の役割は

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大内悟史
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 日本の鉄道開業から14日で150年を迎えた。鉄道網の整備は近代日本の発展を基礎づけた大事業の一つだが、近年は過疎化やコロナ禍による鉄道各社の経営悪化、ローカル線の維持・廃止が議論になっている。これからの鉄道のあるべき姿をどう描くのか。日本鉄道史が専門の老川慶喜・立教大学名誉教授に歴史から得られる知恵について聞いた。

 老川さんは、『日本鉄道史』(中公新書)として、「幕末・明治篇(へん)」「大正・昭和戦前篇」「昭和戦後・平成篇」の3冊を2014~19年に出し、日本の鉄道の通史を描いた。

 その出発点は、幕末に黒船でやってきたペリー提督が幕府に献上した蒸気機関車の模型にある。幕末維新期の政治指導者らは鉄道の重要性にいち早く気づき、外国人技術者の手を借りて1872年に新橋―横浜間が開業した。

 一方で民間資本による鉄道敷設ブームも起き、明治期は官設鉄道を大きくしのぐかたちで私設鉄道が全国につくられた。北海道炭礦(たんこう)鉄道や日本鉄道、関西鉄道、山陽鉄道、九州鉄道の五大私鉄がその代表例だ。

 老川さんは、日本の鉄道史を、「官」主導と「民」先行の表裏一体とみる。

 「鉄道敷設は日本の近代化と経済発展のために不可欠とされ、当初は『官』主導の国家プロジェクトだった。ただ、主に財政上の制約からすべてをすぐに国が建設できず、民間資本が引っ張る形で全国に鉄道網が広がった」

 後半では、戦後日本、国鉄とJRについて論じます。

 鉄道輸送の円滑化を理由とし…

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