第86回戦争したくないと表明…浴びせられた「恥を知れ」 消える個人の自由

有料記事ウクライナ危機 市民は今

ウクライナ西部リビウ=疋田多揚
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 戦禍のウクライナで、出国する自由や「前線に立たない自由」を求める市民たちがいる。ロシア軍の侵攻後、18~60歳のウクライナ人男性の出国が原則禁じられているためで、「自由や民主主義の原則に反する」と訴える。戦時下にあって、人権の制限はどこまで許されるのか――。重い問いを突きつけている。

一時帰国の4日後、ロシアが侵攻

 オレクサンドル・ディウバノフさん(30)がウクライナに一時帰国したのは2月20日だった。

 ラトビアの家具製造会社に勤めて3年。首都キーウ(キエフ)で、息子(2)がラトビアに住み続けるための行政手続きをする必要があった。

 4日後、ロシアが侵攻した。翌25日のラトビア行きの便はキャンセルされた。

 ウクライナでは総動員令が発令され、18~60歳の男性国民は招集の可能性に備え、国を離れることができなくなっていた。例外は3人以上の子ども、あるいは障害のある子どもを育てている親などに限られる。

 ディウバノフさんは出国しようと、鉄道とバスを乗り継ぎ、30時間かけ西部のポーランド国境の検問所へたどり着いた。

 だが、2分で門前払いされた…

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    三牧聖子
    (同志社大学大学院准教授=米国政治外交)
    2022年6月8日21時6分 投稿
    【視点】

    望んだわけでもない戦争で命を落としたくない。当然の願いだ。他方で5月中旬のウクライナの世論調査では、回答者の82%が「戦争が長引いたとしても領土を手放してはならない」と回答した。戦争が続いているにもかかわらず、ウクライナに自発的に帰還する避

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    小熊英二
    (歴史社会学者)
    2022年6月10日11時42分 投稿
    【視点】

    100日もたち、最初の緊張状態から次のステージに移れば、いろいろな揺らぎが生じる。戦場が首都から遠くなれば、なおさらだろう。 そういう揺らぎをなかったことにして、抑圧するようなことをすれば、「守るべきもの」の正統性にも関わるだろう。体

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