精子提供「真実を言えない」 父親の苦しみ、子の権利保障で変わるか

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聞き手・神宮司実玲 後藤一也
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 第三者の精子や卵子の提供を受けて生まれた子どもが、遺伝上の親を知る「出自を知る権利」を保障するための動きが進んでいます。

 超党派の議員連盟は3月、精子や卵子の提供者や、提供を受けた夫婦の情報を保存・管理する独立行政法人の設置などを盛り込んだ新しい法律案を示しました。

 議連は、今年の通常国会にも法案を提出する予定でしたが、現在も議論を続けていて、秋の臨時国会での提出をめざしています。

 第三者の精子を使った人工授精(AID)は、国内では1948年に慶応大病院で始まりました。

 よしむら・やすのり 1949年生まれ。75年慶応大学医学部卒業。2007~11年日本産科婦人科学会理事長。13~20年内閣官房参与(少子化対策・子育て支援担当)。14年から慶応大名誉教授。

「出自を知りたい」子への対応が不明確

 出自を知る権利を保障するための課題は何でしょうか。長年この医療に携わってきた、慶応大の吉村泰典名誉教授に聞きました。

 ――議連が、出自を知る権利の保障に向けた法律案を明らかにしました。

 大きな一歩ではありますが、出自を知る権利に対する言及が足りず、子どもへの対応も明確ではありません。公的管理運営機関の役割は、もう少し踏み込んでほしいです。

 ――どういうことでしょうか。

 生まれた子どもに対して、こ…

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