代理出産の規制どうなる? 「2年をめどに検討」も進まぬ議論のなぜ

有料記事

足立菜摘 市野塊
写真・図版
  • 写真・図版
[PR]

 第三者の精子や卵子で生まれた子の親子関係を定める「生殖補助医療法」で、検討事項になっている代理出産の規制のあり方がいまだに決まっていない。同法は2020年末に成立し、代理出産については付則で2年をめどに検討、とされている。なぜ、議論は進まないのか。

 「代理懐胎(代理出産)はやめたほうがいいだろうという話もあった。問題点がすごくいっぱい指摘されている」

 5月上旬にあった自民党の部会。生殖補助医療法について検討するプロジェクトチームのメンバーが議論を交わした後、記者団に対応した古川俊治座長はそう話した。3月末にあった党内の部会では、代理出産を前向きに検討すべきだという意見も出て、議論が盛り上がるかに思えたが、難しかった。

民法では母親になれない

 付則の骨子案について、超党派の議員連盟(会長・野田聖子少子化担当相)が今年3月に公表したが、代理出産には触れておらず、認めない形だった。

 この骨子案に対し、公明党内などでも代理出産についてもしっかりと検討すべきだとの意見も出ているが、意見集約は容易ではなく、長期的な検討が必要、との慎重論も根強い。ほかの論点も多く、自民党は今国会での法案提出は難しいと表明。代理出産の扱いについて棚上げが続く見込みだ。

 代理出産は出産のリスクを第三者に負わせることになるだけでなく、民法では代理出産で生まれてくる子どもを想定していないため、法律上の親子関係が複雑になるなどの問題が指摘されている。

 最高裁は07年、米国で代理出産を依頼した夫妻に対し、自分の卵子を提供した場合でも、現在の民法では母子関係の成立が認められないとする判決を出した。血縁関係の有無にかかわらず、法律上の母親は代理母となる。

代理出産にはどんな課題があるのでしょうか。記事の後半では、生殖補助医療に詳しい医師や医療人類学者の見方も紹介しています。

15年ぶりのチャンスも…

 00年に厚生省(当時)の専…

この記事は有料記事です。残り1372文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません