感染の入所者、施設内でケア 韮崎市の障害者施設
新型コロナウイルスの感染者集団(クラスター)が発生した山梨県韮崎市の障害者施設について、県は感染が確認された入所者の大半を病院や宿泊療養施設に移さず、施設内で治療・療養にあたる異例の対策をとっている。障害が重い人が多く、日ごろから接している職員がそばにいる方がよいと判断したという。
県によると、7日時点で感染が判明した入所者28人のうち3人は病院での治療が必要だと判断して入院させた。残り25人は施設内にとどめた。ほかに通所者1人が感染して入院。8日にはさらに入所者18人の感染も確認された。
県はこれまで、すべての感染者を病院・宿泊療養施設に受け入れてきた。県感染症対策センター(県CDC)の三河貴裕医師は「どのような障害があろうと適切な治療を受ける権利がある」と話しつつ、今回初めて異なる対応をとった理由について、障害が重く看護に人手がかかること、分散入院させると管理が難しくなることの2点を挙げた。
県はクラスター発生が確認された5日から、災害派遣医療チーム(DMAT)の医師、看護師らを派遣。施設内で感染者の療養するゾーンを分け、防護服なども届けた。ケアにあたる職員の応援派遣の準備も進めていると説明している。
県は「感染が外部に広がるおそれはない」として施設名を公表していない。感染した入所者の多くを施設内にとどめたことについても、長崎幸太郎知事が5日夜の記者会見で「DMATを派遣し、施設内の療養体制を整備した」と述べた以外、具体的な説明はしていなかった。担当者は「詳しく公表すると施設が特定され、差別につながるおそれがある」としている。
一方で施設側は5日夜にはホームページで集団感染の発生を公表した。担当者は朝日新聞の取材に「障害者福祉に偏見を抱かれないよう、また変な情報が伝わらないよう、事実を早く伝えたかった」と話した。
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新型コロナのクラスターが発生した韮崎市の障害者施設の担当者が8日、朝日新聞の電話取材に応じた。「考えうる限りの感染防止対策をとってきた」と話しつつ、利用者の障害の特性から、マスク着用などの対策を徹底できなかった事情を説明した。
担当者によると、20~80代の障害者52人が利用している。
体調不良を訴えていた職員1人が4日、PCR検査で陽性となった。このため利用者と職員の全員を検査したところ、クラスターの発生が判明したという。
施設では昨春から、手洗いや手指消毒を徹底。食堂のテーブルにはアクリルの仕切り板を置いて飛沫(ひまつ)の拡散を防いだ。職員も出勤時に体調をチェックし、マスクを常に着用。面会も禁止していたという。
一方で利用者の多くに重度の知的障害があり、「マスクを強制すると精神的に不安定になる」ため着用を徹底できなかった。入浴介助などの際も、人と人との間隔を空けるのは難しかったという。
重度知的障害者の介護には経験者があたる必要があり、感染者全員を外部に移すのは不可能だと判断した。「職員らは防護服を着て、県から派遣された医師や看護師とともに24時間体制で対応している」と話している。
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