「まさか」に備える住まい 激震に耐えるポイントは?
日本列島は大きな地震に繰り返し見舞われてきた。276人が亡くなった5年前の熊本地震では、激しい揺れで家屋が倒壊し、たくさんの人が下敷きになった。命を守り、災害後も暮らし続けることができる住まいにするためには、どのようなことに気をつければいいのだろう。
住宅の耐震性は、どう判断すればいいのか。目安となるのが、建てられた年代だ。建築基準法の耐震基準は、大地震を経て改訂されてきた。
震度6程度の大地震で倒壊しないことが明確に定められたのが、1981年5月。これ以前の基準を「旧耐震」、以降を「新耐震」と呼ぶ。
6434人が亡くなった95年の阪神大震災では、倒壊した建物のほとんどが旧耐震だった。ただ新耐震の基準を満たしていても、壁の配置が偏るなどしていると、被害が出た。
そこで2000年6月の改正で、壁の配置のバランスや、金物を使った接合部の固定も求められるようになった。
16年の熊本地震では、建てられた年代によって、被害に違いが出た。
激震に見舞われた益城町で木造の建物を調べた国土交通省の報告書によると、旧耐震の建物は、28%が倒壊していた。一方、新耐震で倒壊したのは、00年5月までに建てられたもので9%、00年6月以降に建てられたもので2%だった。旧耐震の建物は耐震診断を受け、耐震性が不足していれば耐震改修が必要だ。
京都大生存圏研究所の五十田(いそだ)博教授は「新耐震でも00年5月以前に建てられた住宅は、まず所有者が安全性をチェックして」と話す。天井裏の接合部の金物、壁のひび、屋根の割れなどを調べて確認する方法が日本建築防災協会の「新耐震木造住宅検証法」にまとめられている。協会のウェブサイトに一般向けの情報もある。倒壊の恐れがあるなら専門家に相談することが大切だ。
建物の構造だけでなく、建材の劣化も耐震性を左右する。高温多湿の日本では木材が傷みやすく、「水が入らないようにして、風通しをよくすることに注意する」と五十田さん。換気口は塞がない。水が染み込む外壁のひびや屋根瓦の割れは早めに補修することが重要だ。
耐震性に問題があれば、改修も一手だ。バリアフリー化を進める工事や断熱性を高めるリフォームの際に、壁に筋かいを入れたり、接合部を補強したりといった工事をすれば費用を抑えられる。
ただ、耐震基準はあくまで大…
【春トクキャンペーン】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら